最高傑作の呼び声高く7thアルバム『Slow and Then』リリース。
「趣味」を「芸術」へと昇華させた、ジャンルレスな全12曲。
琴吹羽音の通算7枚目となるニューアルバム『Slow and Then』
久しぶりのフルアルバムとなる今作は、作家とアーティスト本人が「制作していていちばん楽しかった」と語る通り、彼女達の音楽的嗜好と遊び心が爆発した100%趣味の一枚。
注目すべきは、その圧倒的な振り幅だ。
自身の名前を歌詞に散りばめ、演歌とEDMを融合させたお祭りチューン「絢爛ことぶきネオン神楽」や、情報解禁前に公開された15秒のパイロット版がSNSで話題を呼んだ「Magical Parade Scramble」など、エネルギーに満ちた楽曲がアルバムを鮮やかに彩る。
アルバムの核となるのは、やはり類稀なるボーカルスキルである。
90年代〜00年代のヒップホップを彷彿とさせるトラックでは、高速フロウと固いライムでラップスキルを見せつけ、本格的なレゲエチューンや、哀愁漂うユーロビート調の楽曲など、いずれも変幻自在の表現力であらためて彼女のポテンシャルの高さを証明してみせた。
フルアルバムの恒例となっているカバー枠では、鴉のエモーショナルな名曲「巣立ち」と、パスピエの超高音ソング「つくり囃子」を収録、2曲とも彼女のルーツミュージックからニッチな嗜好までを物語る会心のカバーとなった。
そして見逃せないのが、1月2日にリリースされ、そこに込められた感動的なメッセージが多くの称賛と涙を誘ったシングルのアルバムバージョン「Blue Moon Crisis -West Non Fiction Ver.-」だ。オリジナルとは異なるメロディーラインと、切ないウィスパーボイスが強調されたこのバージョン。実はシングルリリースよりも先に、曲のワンフレーズを琴吹羽音自身が”とある人物”へのエールとして送っていたことが明らかになっており、既に様々な憶測を呼んでいる。
切々と歌い上げられるこの曲。サブタイトルの「West Non Fiction」が示す意味とは――。
シングルとは”また別の人物”へ向けられたと思われるそのメッセージに、再び多くのリスナーが胸を締め付けられることだろう。
公開されたジャケットアートワークは、斜めに配置されたタイポグラフィが印象的なデザインとなっており、アルバムタイトルも含め、The Beatlesのラストソング『Now and Then』への深いリスペクトとオマージュが込められていることも伺える、羽と音を全開にした、まさに”趣味の極致”とも言える一枚。全ての曲にトリックが隠され、リスナーを飽きさせない全12曲。美学と遊び心が詰め込まれた、2026年を象徴するマスターピースが完成した。

